サラリーマンは昨年の医療費が一定額を超えた場合、確定申告を行うとお金が戻ってくる場合があります。
そうは聞くものの自分は確定申告する人に当てはまるのか、悩んでしまいますよね。
私は今年の確定申告会場で電子申告を行う仕事をしました。
そして家族の確定申告も自分で済ませました。
みなさん一様に難しいことや専門用語はよくわからないと仰います。その気持ちもとてもよくわかります。
なので、サラリーマンの確定申告について、できるだけ簡単な言葉でお伝えしていこうと思います。
今回は一番多い医療費の申告についてです。
確定申告の準備
医療費と認められるもの
国税庁のホームページにもある程度は記載されていますが、一般的な言葉で例を挙げるなら
- 病院・クリニックでかかった治療代(お医者さんに支払ったお金)
- 治療を目的とするためにドラッグストアや薬局で購入したもの
- 通院にかかった公共交通機関の交通費(タクシーやガソリン代、駐車場代は原則不可)
- 妊娠・出産にかかった費用(検診での自費負担分も可)
- あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術代(単なるマッサージは不可)
- 歯列矯正の費用や治療上必要範囲内とされる自費の歯やインプラントの費用
など
医療費と認められない物
たくさんありますが、よくある質問で多いものを挙げます。
- コンタクトレンズや眼鏡
- インフルエンザなどの予防接種や健康診断(セルフメディケーション税制は認められますが今回はあくまで医療費の申請として不可とします。)
- サプリメント(セルフメディケーション税制は認められますが今回はあくまで医療費の申請として不可とします。)
- マスク
- 美容目的で行ったもの
- 疲れを癒すためのマッサージ
など
予防目的であったり、治療に当てはまらない物は認められません。
医療費の領収書の確認
医療費の申告は会社で行う年末調整に提出することはできません。したがって確定申告を行います。
医療費を確定申告で申請すると医療費控除というものが受けられます。
そのためにはまず領収書を1年間集めます。
日付が昨年1年間(1月1日から12月31日)の物であるか確認しましょう。
医療費の領収書を振り分ける
生計を一にしていれば、本人以外の物でも申告できます。
集めた医療費をまず家族の人別に分けます。
お父さん
お母さん
子供
といった感じです。
そして更に
お父さん
- Aクリニック
- B病院
- C耳鼻咽喉科
- D歯科医院
お母さん
- Aクリニック
- E整形外科
- D歯科医院
子供
- B病院
- F眼科
と、かかった病院ごとの明細に分類します。
この他にドラッグストアや薬局などで購入したレシートは家族共用の物もあるので、家族の内のどなたかに「〇〇ドラッグストア」という項目で入れ込みます。
分類ができたら小計し、総合計も出しておきます。
生命保険会社などで給付金を受け取った場合
手術や入院をしたり、あるいは分娩などで生命保険や社会保険などで受け取ったお金がある場合は、医療費から差し引かなくてはいけません。
しかし、この給付金を差し引く計算は、あくまでもその疾病(病気)に関わった医療費のみです。
例えば、盲腸で入院をして生命保険会社から20万円の給付金がおりたとします。
盲腸の初診から入院、手術、退院、その後の診察にかかった医療費が15万円だとしたら、差し引く額は15万円で良いのです。
医療費控除の明細書を作る
医療費控除の明細書は電子申告以外の方法での確定申告において、提出が必要となります。
簡単に作れます。
こちらからダウンロードして書類を印刷してください。
振り分けた領収書の合計金額を記載していきます。
医療機関が多くて書ききれない時はある程度まとめても大丈夫です。
確定申告をする
源泉徴収票を見る
会社員として働いていると、年が明けて最初のお給料日の頃に会社から
「給与所得の源泉徴収票」
というものがもらえます。
その中の項目で
「源泉徴収税額」という項目を見てください。
確定申告をしてお金が戻ってくるのは、この金額の範囲内です。
ここが0円なら、どれだけ申告をしても1円も戻ってきません。
10万円を超えた分が全額キャッシュバックするわけではない
医療費総額の10万円を超えた分が全額キャッシュバックされるわけではありません。一番勘違いされているのがこの部分です。
今回の確定申告者の中でも、思ったよりも還付金が少なくてガッカリした人が多かったです。
そしてここでもう一つ大きな間違いがあります。
「10万円超えた部分」です。
源泉徴収票を見てもらうと支払金額の横に「給与所得控除後の金額」という欄があります。(源泉徴収票の書式によっては場所が違うかもしれませんが項目は同じです。)
その給与所得控除後の金額に0.05をかけた金額か、10万円のいずれか少ない方の金額を超えれば医療費の確定申告を行う事ができます。
つまり、給与所得控除後の金額が200万円未満の方は10万円に達していなくても申告できることになります。
ただし
何度も言いますがそれらの金額を超えた部分が全額キャッシュバックするのではありません。
それらの金額を超えた部分が「所得から差し引かれる金額」の仲間入りする事ができるようになるという事です。
「所得から差し引かれる金額」は他には生命保険控除・配偶者控除・基礎控除などがあり、所得から引いて計算してもらい、支払うべき税金を少しでも安くしようという事なのです。
しかしあくまでもお返しできる金額は源泉徴収税額の範囲内です。
計算は所得に応じて率が違うので一様には言えませんが、確定申告の書類を見れば計算方法が載っているので、手計算でもできます。
まずは試算してみよう
医療費の領収書とにらめっこしていても、一体いくら戻ってくるのか見当も付かないので、試しに計算してみましょう。
パソコンまたはスマートフォンで国税電子申告のページに行きます。
↑こちらのリンクから飛べます。
そして、「確定申告書を作成する」というところをクリックします。
「申告書・決算書・収支内訳書等 作成開始」
という大きめのボタンをクリックします。
「e-Tax」と「書面提出」を選ぶ画面になるので、書面提出を選びます。
あとは、手元に医療費の領収書をまとめた医療費明細書と源泉徴収票、マイナンバーを準備すればOKです。
画面の項目に従って、もれなく記入していけば、還付金がわかります。
その記入が完璧にできれば、そのまま書面提出(郵送)もできます。
書面提出に必要な項目のチェック表なども最後に印刷すると6枚用紙が出てきてその中にあるので安心です。
パターンは人それぞれ
よく聞くのが、友達に「お宅も戻ってくるからやった方がいいよ。」と言われて来たのに、還付金が無くてガッカリしたというパターンです。
先に述べたように、源泉徴収税額が少ないと、返したくても返せません。
住宅控除を受けていると、そもそも年末調整で引ききっていて、源泉徴収税額が0円になっていることもあります。
全く同じ金額の医療費控除を受けても、年収が違えば税率も違うので、還付金は同じにはなりません。
市民税の減税
源泉徴収税額が0円の場合は医療費控除の確定申告をしても1円も戻ってきません。
しかし所得税としてはお金が戻ってこなくても、申告できる金額の医療費があれば市民税を減税してもらえることがあります。
同じ書類を用意して、市町村役場の税務課にご相談に行かれることをお勧めします。
まとめ
医療費控除の確定申告を行うポイントとして
- 源泉徴収票を確認する
- 医療費の領収書を振り分ける
- 医療費控除の明細書を作る
- 試算してみる
- 源泉徴収税額0円の場合は市民税減税適用になる可能性があるので役所へ相談
医療費控除の確定申告を行う予定のある方のご参考になれば幸いです。