楽々歩けるようになりました!「人工股関節置換術」闘病生活37日間のすべて

健康・からだ

ご家族が、あるいはご自身が、股関節の痛みに悩まされ歩きにくくて、困っていませんか?

約半年前に、70歳を目前にした叔母が、人工股関節置換術という手術を受けました。

そして、その結果、あの痛みが嘘のように治り、今は快適な生活を送っています。

同じような症状で悩まされている方のご参考になればと思い、手術から退院、そして現在の様子までお伝えしようと思います。

人口股関節置換術とは

人工股関節置換術とは、傷ついた股関節の損傷面を取り除いて、人工関節に置き換える手術です。

人工関節は、金属製のステムとボールとソケット、そしてソケットの内側にはめ込む超高分子ポリエチレン製のライナーでできています。

このライナーは、軟骨の役目を果たしているので、ボールをライナーに組み込むことにより、スムーズな関節の動きが得られます。

(出典:人工関節ドットコム)

手術を決心するまでの流れ

足が痛くて歩けなくなってきた

もともと出掛ける事が大好きだった叔母ですが、2年ほど前から右股関節に違和感を覚え始めました。

初めのうちは長く歩くと痛みが走るようになり、その内日常生活でも常に痛むようになりました。

階段や坂道を歩く事ができず、痛いほうの足をかばうので、反対の足や腰まで痛むようになってきました。

ついには、ものすごくゆっくりでないと行動できなくなっていまいした。

近所の整形外科に通院

かかりつけの整形外科に少し通いましたが、マッサージや湿布などの処置に留まっていました。

あまりにも辛いので、先生に相談したところ、大きな病院を紹介してもらう事になりました。

名古屋市立東部医療センターを紹介される

個人病院から紹介されたのは名古屋市立東部医療センターでした。

名古屋市立東部医療センター

〒464-8547 名古屋市千種区若水一丁目2番23号

TEL:052-721-7171(代表)
こちらの整形外科を受診する事になりました。

違う病気でこの病院にお世話になった事がある叔母なので、全く抵抗はなかったようです。

レントゲンは物語る

初診時に撮ってもらったX線写真を見ると、素人でもわかるほど、股関節が損傷していました。


写真の青い矢印は右の股関節ですが、左と比べてみると、隙間が無くなっているのがわかります。

この隙間には軟骨があって、丸い股関節の結合部分の骨がクルクルと回りやすくする役割があるのですが、それが何らかの原因ですり減り、押しつぶされ、骨同士が干渉(こすれ合う)し、骨をも削り取ってしまっていました。

相当痛かったのだろうな、と思いました。

タクシーの運転手も褒めた吉田先生

主治医の吉田行雄先生は、東部医療センターの副院長兼第一整形外科部長であり、人口股関節置換術のエキスパートです。

東部医療センターの吉田先生と言えば、界隈では相当有名らしく、たまたま乗ったタクシーの運転手が

「人工股関節の手術、吉田先生にやってもらうの?あんた、そりゃ宝くじに当たったと思わないかんよ?」と言ったそうです。

つまり、この先生に巡り合えた事は奇跡なぐらいラッキーな事なんだそうです。

先生を信じて手術を決心する

丁寧な説明に安心した叔母は、この先生に手術してもらおうと即決したそうです。

初診日から手術までは約2ケ月ありました。

手術

手術前日に入院する

手術の前日の午前中に入院することになりました。

病院の入り口から受付、病棟へと移動するだけでも痛くて辛そうな叔母を見ていると、こっちも辛かったです。

その日は入院手続きやら、病室の準備やら、体調管理などで慌ただしく終わりました。

4人部屋でした。

手術当日の朝

手術は午前9時頃から行われました。

病室で待機していると、主治医であり執刀医の吉田先生が励ましに来て下さいました。

「大丈夫だからね」と笑顔で声をかけていただいて、とても安心した事が忘れられません。

それから間もなくして、叔母は手術室へ向かいました。

私達家族も手術室の前まで一緒に見送りに行きました。

家族は個室で待機する

術後に入る部屋は、ナース室に近い個室部屋となります。

ここで1日様子を見るそうです。

4人部屋から荷物を移動させたあとは、この個室で待機していました。

手術時間

およそ3時間半でした。

予定通りだそうです。

目覚めの一言

全身麻酔を解かれ、先生に名を呼ばれ叔母が最初に発した言葉は

「今から(手術)ですか?」

これには先生も笑っておられました。

それぐらい、麻酔が効いてから目が覚めるまでは一瞬に感じたそうです。

大手術をしたのにね。

当日は関係者の出入りが激しい

当然ですが、体調管理のため、ひっきりなしに看護師さんが出入りします。

そして地域医療包括センターの方などから今後の流れとして介護認定の話しや、退院後の事など細かい話しもあります。

叔母は1人暮らしなので、こういった事は私がしっかり聞いて対処する役目になっていました。

うかうかと席も外してられないな、と思いました。

痛みは我慢しない

麻酔が切れてくると、痛みを感じます。

痛みは全く我慢する必要がなく、痛かったら痛み止めを使用するので遠慮なく言ってください、との事でした。

術後は点滴をしているので、入れてもらったりしていました。

術後2~3時間はぼんやりしている

麻酔が切れて目はパッチリ開いていても、しゃべりはハッキリしませんでした。

いつもは何でもハッキリ話す叔母なので、あぁ麻酔が残ってるな、と感じました。

少し起きては目をつむり、寝たような感じが続いていました。

完全看護なのでひとまず帰る

夜はお任せして、ひとまず付き添いは帰りました。

夜中に痛みがあったようで、痛み止めを処方してもらったそうです。

手術翌日~退院

足が内側に倒れるのを防ぐ

人工股関節はこのように入っています。

人工股関節置換術後に一番気を付けなければならない事は脱臼です。

足をひねる方向を間違えると脱臼の恐れがあり、再手術を余儀なくされるケースも多々あるようです。

寝た状態で立て膝をし、手術をした右側の膝が左足を超えてはいけません。

つまり、内側に倒れる動作がいけないんだそうです。

それを防ぐために、座布団を折り曲げて紐で縛り、股の間に置いていました。

外側(ガニ股)は大丈夫です。

家から持っていった座布団は少し大きすぎて、結局病院で扱っているものを貸してもらっていました。

さっそく動く

最近は術後はどんどん体を動かすという傾向にあります。

この人工股関節置換術も同じです。

翌日からベッドで上半身を起こしたりしていました。

それができるようになると、ベッドに腰掛ける、車いすに移動する、と日に日にやる事が多くなってきます。

動作の順番を間違えると、足をクロスしてしまい脱臼の恐れがあるので、左足を付いてから右足を寄せるなど、細かい動作の指導がありわかりやすかったと言っていました。

1人で車いすにのってトイレに行くようになるまでさほど日数は掛からなかったと思います。(3~4日)

どんどん元気になる

もともと内臓疾患ではないので、股関節以外は至って健康で元気な叔母は、4人部屋の他の患者さんともすぐに打ち解けました。

みなさん同じ関節置換術で入院されている人ばかりなので話しも合うし、退屈しのぎにコーヒーとおやつは日課になっていたようです。

初めのうちは「お菓子買って来て」と言っていましたが、その内「売店に行けるようになったから」と言っていました。

目覚ましい回復力です。

リハビリは毎日行う

大きな手術をしたからといって、寝かせておいてはくれません。

理学療法士さんなどによるリハビリは毎日行われていました。

最初は痛かったけどすぐに慣れたそうです。

退院の頃には1人で立てるようになっていました。

退院は術後10日目

叔母は1人暮らしです。

術後家に帰っても日常的に助ける者がいないので、それを不安に思い、リハビリ専門の病院に転院することが決まっていました。

東部医療センターを退院した後自宅に帰る場合は約3週間での退院、その後転院の予定がある人は10日での退院とおおよそ決まっているようです。

したがって、叔母は10日で退院後、転院となりました。

転院

リハビリに特化した木村病院に転院する

医療法人桂名会 木村病院

〒465-0087 名古屋市名東区名東本通2-22-1

052-781-1119

東部医療センターから木村病院へと転院するパターンは割と多いらしく、転院の予約や紹介状の準備などもすべて行ってもらえました。

東部医療センターで最後の診察を受け、会計を済ませ、皆に挨拶をした後は、そのまま木村病院へ直行です。

介護タクシーも手配できましたが、介助すれば車に乗せれたのでマイカーで向かいました。

まだ移動は車いすです。

徹底した管理下でのリハビリ

木村病院での生活は厳しいといわれているリハビリがメインです。

厳しいと聞いていたのでスパルタなのかと思いきや、確かに午前も午後もリハビリメニューがたくさんありますが、優しい職員さんの徹底管理の元で確実に日常生活が送れるよう指導してもらうものです。

リハビリ施設も驚くほど充実しており安心して任せられました。

術後2週間で抜糸

手術後の抜糸は木村病院で行いました。

抜糸後の写真がこちらです。

ちょっとお見苦しいですが、だいたい15~20センチ程の傷跡でした。

この頃には手術の痛みというものは感じなくなっていました。

当然のことながら、股関節の痛みもまったくありません。

ほぼ日常生活ができるようになる

木村病院では27日間過ごしました。

その間、室内リハビリはもちろんの事、外出によるリハビリも積極的に行われたそうです。

近くの公園からはじまり、坂道のきついところ、少し離れた最寄り駅、階段、など日常生活でありうるシーンを想定してのリハビリだったそうです。

木村病院を退院する頃には補助器具など何も無しで歩く事が可能でした。

退院後の生活

痛み

痛みは全くないそうです。

痛くないという事は本当に幸せな事で、とても快適に生活しているようです。

外出

バスに乗ったり、あるいは自転車で買い物に出かけているそうです。

まったく問題ありません。

大好きな旅行も2度ほど行ったようです。

気を付けている事

これはやはり脱臼です。

座り方一つでせっかくの股関節が脱臼してしまっては台無しです。

リハビリで徹底的に教わってきたので、そこは常に意識しているようです。

しかし、はた目に見たら、違和感のあるような動きもしないし、本人がいわない限り人工股関節置換術を受けた事すら周りには気付かれないでしょう。

おわりに

どこが痛くても辛いものですが、歩く事ができない関節の痛みに関しては、こんな手術があって、しかも本人が嘘のように痛みから解放されて歩いているという事実に、あらためて感動しました。

初めは大変だったと思いますが、過ぎてしまえばたった37日間で元の体を取り戻せた、と喜んでいました。

同じ症状で悩まされたり、手術に対して不安のある方への少しでも参考になれば幸いです。

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